上肢装具、正中神経麻痺。
「手」はお好きですか。好み分かれますよね。
54回午前8をご参照ください。問題文は、ちょっとおもしろテイストですが、淡々と読み解いていきましょう。
長文ですが、解くための有益な情報はわずかです。もう選択肢の方から見ていきましょうか。
1、長対立装具
2、IP伸展補助装具
3、ナックルベンダー
4、Thomas型懸垂装具
5、コックアップスプリント
いかがでしょうか、これだけで何だか解けそうですね。
馴染みのある装具から見ていきましょう。
まずコックアップスプリントですが、適応は何神経麻痺でしょうか。(教科書によってはカックアップと表記されることもあります。Cockーupをどのようにカタカナにおこすかという話です。一緒のものを指します。)コックアップは橈骨神経麻痺に適応があります。
橈骨神経麻痺で選択すべき装具は?
・コックアップスプリント(掌側・背側)
・Thomas型懸垂装具
・オッペンハイマー型装具
です。国試レベルでは、この辺りを抑えていきましょう。業者模試だともう少し出てたかな、どうですかね。また調べてみます。橈骨神経麻痺では、下垂手あるいは下垂指が生じます。スプリントによって、手関節の掌屈・MP屈曲を防ぎます。
4と5は同じ神経麻痺に適応ということで、X2の問題であればこれが正解の可能性がありますが、今回は正解ではなさそうですね。
次に馴染みがあるのはナックルベンダーといったところでしょうか。ナックルベンダーは尺骨神経麻痺に適応があります。
尺骨神経麻痺で選択すべき装具は?
・ナックルベンダー
国試レベルでは、これが主だと思います。尺骨神経麻痺では、鷲手変形が生じます。スプリントによって、MP過伸展、IP屈曲位を防ぎます。こう考えますと、2のIP伸展補助装具も尺骨神経麻痺に適応があると言えそうですね。(PIP伸展位に矯正をかけると考えると、RAのスワンネック変形に適応があると考えられます。DIPを伸展させる装具は、槌指に適応があります。)
それでは最後に、長対立装具です。長対立装具は正中神経麻痺に適応があります。
正中神経麻痺で選択すべき装具は?
・短対立装具
・長対立装具
です。対立バーが付いており、第1中手骨を支え、母指対立位にすることができます。(余談ですが、対立装具は頸髄損傷の問題でも取り扱われることがあります。C5C6残存では長対立装具、C7残存では短対立装具が適応です。)
さて、ここまで選択肢を読み込んだ上で、問題文を見てみますと、正中神経麻痺で運動障害と感覚障害を認めているとのことです。というわけで、1、長対立装具を選んで3点頂きましょう。